タムラグリア 展「輪郭線の上にて」2014年6月6日(金) - 2014年6月18日(水)

 

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gallery near【開催中の展示】gallery near selection 2014年9月22日(月) - 9月30日(火)gallery near 【 取り扱い作品 】


Press release

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タムラグリア 展「輪郭線の上にて」

期間:2014年6月6日(金) - 2014年6月18日(水) *6月12日(木)は休廊
開廊時間:12:00-22:00(最終日は17時まで)
会場:gallery near

2014年6月6日(金)から6月18日(水)までの12日間、gallery nearにて、タムラグリア 展「輪郭線の上にて」を開催いたします。
過去に自ら劇団を主宰し、脚本・演出を手がけるなど多彩な才能を持つタムラグリアは、劇団解散後から本格的に表現を油彩に移し、宝塚造形芸術大学大学院在学中から様々な公募展、グループ展に出展してまいりました。2008年、2009年と立て続けに賞を受賞するなど注目を集め、美術館やギャラリーなどでのグループ展にも出展するなど精力的に活動してまいりました。2012年にはパリ・ルーヴル美術館、2013年にはニューヨークのギャラリーでのグループ展など、海外でも積極的に作品を発表し、国内外問わず注目を集める作家の一人であります。

タムラグリアが描く画面からは、シュルレアリスムを想起させる非現実的な世界が表出されており、夢の中で起こっているような独特な現実感に魅き込まれます。無意識や集団意識、夢や偶然、オートマティスムといったシュルレアリスムの思想の中で、夢や無意識下でしか起こりえない奇妙な世界を具象的に描いた画家、サルバドール・ダリやルネ・マグリットらの画面を彷彿とさせながらも、タムラグリアの表現はそれらの思想とは全く逆とも言えるほど、意識的にモチーフ達を結び付けており、タイトルからも精神的な思想や人間心理を具現化したような画面を表出しております。
「Hell+o」(2011)では、一人の紳士が花や草木が咲き誇る庭園に迷い込んだように佇み、上半身が煙や靄の如く徐々に深緑の葉が生い茂る枝に変化し、人体が自然の中に溶け込んでいく様を描いているかのようであります。爽快な青空と瑞々しい新緑、真っ赤な花達が織りなす鮮やかなコントラストが印象的で、それらを同一画面に置く色彩感覚と共に、夢の中で見たような奇妙な世界を写実的に描く高い描写力・画面構成の妙は一度見ると記憶に焼き付き、中毒性を帯びたように何度も脳裏を反芻します。「何でも無い日」(2014)では、広い荒野で身体を仰け反らせた女性の頭部が枯れ技のように描かれ、まるで髪を振り乱し一心不乱に踊っている様を切り取ったかのように見え始めます。前述した紳士の佇まいは庭園に象徴的に植えられた1本の樹木、後述の振り乱した髪は方々に分かれる枯れ枝というふうに、タムラグリアは自身が様々な物質に抱くイメージやフォルム同士を意識的に置き換え、組み合わせることで、シュルレアリスムを想起させる不可思議な画面を表出しつつも、それらの根源となる思想とは異なる視点で物事を俯瞰し、自らの表現に昇華しております。

本展は「輪郭線の上にて」と題され、新作を中心に大小様々な作品で構成されます。タムラグリアは、本展ステイトメントにおいて自身の聴覚の衰弱を告白しており、その聴覚の弱まりを「音の輪郭がわからなくなる」と表現しております。【キャンバスに下描きで描いた輪郭線は絵の具を乗せるにつれ見えなくなりますが、描き込むほどに、見えなくなった輪郭線の存在を強く感じています。】とあるように、消え行く音の輪郭を絵具をのせるにつれ見えなくなる輪郭線になぞらえ、画面の中に風景の音を内包させる表現を試みております。骨格標本や剥製を作るほど、生物に対して抱く強い興味・探求心、また、劇団を主宰し、脚本や演出を手がけていた事にも起因するように、人体の動きや心の機微といった極めて人間的な部分を舞台上で表現する上で、人々や物事を溢れんばかりの人間愛をもって丁寧に観察し演劇に取り組んできた過去からも、タムラグリアは絵画における輪郭線(下書き)を生物の肉体における骨格や血管、植物なら葉脈や導管といった表層上(絵画における画面上)にははっきりと現れてこないにも関わらず、物質(絵画作品)を形作る上で不可欠なものとして、逆説的に表現しているようにも感じられます。生物にとっての聴覚は生死を分かつ重要な器官であり、それらの機能が弱まることで別の器官が発達する事例は多く、タムラグリアにとっても、聴覚の衰弱により視覚は更に研ぎ澄まされていくのであります。一見、奇妙で鑑賞者を混乱させるような画面が多く描かれている中で、どこか希望や未来を指し示しているような印象を受けるのは、人間を含む全ての生命に対しての深い愛情と畏怖の念をキャンバス上に表現しているからではないでしょうか。慈愛に満ちた画面に内包されるタムラグリアが聴く情景の音は、見えなくなった輪郭線の存在を意識することで、より鮮明な音となって我々鑑賞者の耳に届くことでしょう。

本展をぜひ、ご高覧くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。

gallery near 延近 謙


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Hell+o
1620×1303mm
キャンバス・油彩
2011

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蚤の空
910×727mm
キャンバス・油彩
2010

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野合い
1167×910mm
キャンバス・油彩
2011

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魂合わせ
500×235mm
キャンバス・油彩・木材
2012


■ ARTIST STATEMENT ■

私の耳は少しずつ悪くなっていて、今まで聞き取れた細かい音が聞こえなくなっています。
小鳥の声、小さな鈴の音、すきま風、ヒソヒソ話。
聞こえているはずなのに、すべて耳鳴りの中に消えて行きます。音の輪郭がわからないのです。

耳が悪くなっていくにつれ、ものの輪郭を意識するようになりました。
キャンバスに下描きで描いた輪郭線は絵の具を乗せるにつれ見えなくなりますが、描き込むほどに、見えなくなった輪郭線の存在を強く
感じています。

絵の中に消えて行った輪郭線に聞こえなくなった 音を重ねて、風景の音を感じられる表現を心がけています。


■ PROFILE ■

タムラグリア | tamuragrea

1985 大阪生まれ
2010 宝塚造形芸術大学大学院卒業

【 主な個展 】

2012 個展 /ク・ビレ邸(大阪)

【 主なグループ展 】

2013 Kyoto Current 2013 /京都市美術館別館 (京都)
    網島フェスタ /太閤園(大阪)
    100人展  /Ouchi Gallery(NY, USA)
    TAKE OUT ART !ーアートを”お持ち帰り”する小作品展ー /gallery near(京都)
    TRANSNATIONAL ART 2013-OSAKA Contemporary Art Exhibition /大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪)
2012 Salon Art Shopping, Louvre, Paris. /ルーブル美術館(Paris, France)
    まくに美術展  /真国の荘(和歌山)
    TRANSNATIONAL ART 2012-OSAKA Contemporary Art Exhibition /大阪府立現代美術センター(大阪)
2011 ART POINT Selection IV 2011 /Gallery Art Point
    国画会企画 新人作家展 /国立新美術館(東京)
2010 二人展 タムラグリア、堀拓馬 /大阪府立現代美術センター(大阪)



【 受賞歴 】

2009 兵庫県展・三席 神戸新聞社賞
    三田市展・優秀賞
2008 西宮市展・商工会議所会頭賞