中比良真子 展「Transparent room」2013年10月11日(金) - 2013年10月23日(水)

 

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gallery near【開催中の展示】gallery near selection 2014年9月22日(月) - 9月30日(火)gallery near 【 取り扱い作品 】


Press release

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中比良真子 展「Transparent room」

期間:2013年10月11日(金) - 2013年10月23日(水) *10月17日(木)は休廊
開廊時間:12:00-22:00(最終日は17時まで)
会場:gallery near

2013年10月11日(金)から10月23日(水)までの12日間、gallery nearにて、中比良 真子 展「Transparent room」を開催いたします。
スタンダードな油彩技法ながら、その洗練された美しい描写、また、日常を繊細に切り取る視線は、もはや中比良の代名詞となり、2008年に出展したアートフェア「ART OSAKA」で大絶賛されて以降、年を追うごとにその評価を着実に上げ、全国的に注目を集めてまいりました。作家としてのキャリア10年目を迎える現在に至っても、その独自のスタイルは変わることなく更なる進化を遂げようとしており、約1年ぶりの個展となる本展において発表される新シリーズに期待が集まります。

中比良は、自らの表現をいくつかのシリーズに分けて制作しており、いずれも画面に描き出されるものは、何気ない日常の光景、中比良自身の生活の中で拾い上げたひとコマであります。近年のシリーズでは、2012年1月に当ギャラリーの個展でも展示された、水面に映る景色と実際の風景を反転させた、自らが水のシリーズと呼ぶ、「The world turns over」をはじめ、風景の中から人のみを抜き出し、場面を描いた「over there」、鳥の目線から俯瞰した世界を描いた鳥瞰図「bird eyes」といった白のシリーズ、夜の街の光景を描き、無数に輝く夜景の光を地上の星と捉えた「stars on the ground」、また、それらひとつひとつの光を構成する住居の窓に焦点を当て、窓から漏れる光景を描いた「On the way home」といった黒のシリーズなど、表現しようとするテーマによって画面へ対峙する印象を変えながらも、その眼前に広がる日常と非日常の境界のような世界観に魅き込まれていきます。ひとつひとつのテーマがシリーズとして枝分かれしつつも、全てのシリーズは中比良が紡ぐひとつの物語で繋がっているようでもあり、毎日を過ごす中で、通り過ぎていきがちな些細な出来事(風景・事象・心象)を繋ぎ止めるかのように描き、中比良の関心がそれぞれの作品に色濃く反映していると言えます。

中比良は、普段我々が目にする何気ない光景の中に潜む、見過ごしがちな一瞬の風景を敏感に察知し、写真に収めます。写真から描き起こされる写実的な描写と、意図的に削ぎ落とし、デフォルメして描かれる部分が1つの画面に混在しており、現実と虚像の世界を巧みに組み合わせることにより、写実表現だけにとどまらない独自の表現を確立しております。多くの人が見ているようで見ていない、あるいは見ようとさえしていない日常における風景を、中比良はその繊細な感性により拾い上げ、画面に落とし込む事で、作品と対峙する鑑賞者の意識下に普段から能動的に思考する事を誘導しているようでもあります。表層に見えるものだけが全てではなく、あえて描かない部分を加えることにより、我々に多様な解釈をもたらし、中比良が表現しようとする現実世界の不確かさを更に如実にしていくのであります。

本展は、今回新たに制作されたシリーズで「Transparent room」と題され、全て新作の展示となります。また、gallery “ S ”では、同じく「窓」をテーマとしたシリーズ「On the way home」の展示も同時開催いたします。「On the way home」は、前述したとおり、夜景の光を構成する住居の窓に焦点を当て、窓から漏れる光景を描き、「Transparent room」では、風景の一部である建物の窓から、更にその先に見える窓越しの風景を描いており、両シリーズに通底するのは、窓越しに見た誰かの日常、確かに存在するはずの風景であります。しかし、現在の場所から見えるものは限られており、窓の向こう側に存在する景色は現実なのか虚像なのか、視覚や意識を通り越した先にあるものは不確定でありながらも、曖昧だからこそ託せる希望や温もりがあることを示唆してくれるようであります。中比良はこうした不安定で不確定な現実世界の中にある風景を描くことで、より確かで丁寧な日常を見出し、凄まじいまでの速さで過ぎていく現代社会に生きる我々に、本当の意味での「日常」を取り戻させてくれるようであります。

本展をぜひ、ご高覧くださいますよう、何卒よろしくお願いいたします。

gallery near 延近 謙


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Transparent room No.2
410×530mm
油彩・キャンバス
2013

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Transparent room No.1
610×810mm
油彩・キャンバス
2013

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On the way home No,11
270×350mm
油彩・キャンバス
2011

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On the way home No,4
240×330mm
油彩・キャンバス
2010

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On the way home No,6
410×220mm
油彩・キャンバス
2010


■ ARTIST STATEMENT ■

「Transparent room」

いつものように、電車の窓から外の景色を眺めていた。
たくさんの家が並び、田園が広がり、遠くに山が重なっている。当然のことながら、山の向こう側は見えない。私はただ目の前にある
景色だけを眺めていて、幾重にも重なりあった建物や住宅なども、見えるものの輪郭だけをなぞるようにぼんやり眺めていた。
そんな時、ふいに違和感のようなものを感じ、思わず目を奪われた。
ある建物(古いビルだった気がする)の窓が開いていて、向こうの景色が見えたのだった。見えるはずのない、建物の向こう側に見えた風景。
その時私が感じたのは、人が作り出した空間の小ささ(面積的なものでなく、頼りなさのほうかもしれない)と、突き抜けるような開放感だった。
景色はどこまでも続いている。見えていないだけで、視覚や意識を通り越した遠くまですり抜けて行く。
そして建物の中の空間は、どんなに完全に区切ったかのように思えても、風景からかりそめに切り取っただけのものかもしれないということ。
「Transparent room」では、窓から窓へ通り抜けて行く途中の小さくはかない空間と、その先にあるどこまでも広がっていく風景を描いている。

「On the way home」

夜の帰り道、夜の暗闇に浮かぶ小さな窓のあかり。
全然知らない街の、誰か分からない人の家であっても、それは何よりもあたたかく幸せなものに見える。
ほっとするような、でも自分だけ暗闇に迷い込んでしまったような。
あと一時間もすれば、ひとつずつ消えてしまうかもしれないあかり。
暗闇に消えた街の中に人の存在を探すことは難しい。だからこそ、あかりにほっとしてしまうのかもしれない。
そこに誰かが居るということ。暮らしがあるということ。それらの積み重ねで、街は作られている。
今回の「Transparent room」が窓を題材にした作品のため、同じく窓をモチーフにしている「On the way home」の展示も合わせて行います。



■ PROFILE ■

中比良 真子 | NAKAHIRA Masako
1979年 滋賀県生まれ
2004年 京都精華大学大学院芸術研究科造形専攻修了

【 主な個展 】

2003年 Nomart Project #2中比良真子 展 WATERING(ノマルエディション/プロジェクトスペース/大阪)
2004年 blooming(neutron kyoto /京都)
2006年 Kyoto Art Map 2006参加企画 bird eyes(neutron kyoto /京都)
2008年 The world turns over(neutron kyoto/京都)
2009年 here,there(neutron tokyo/東京)
2010年 Stars on the ground(neutron kyoto/京都)
2011年 Stars on the ground(neutron tokyo/東京)
     Sunny Water(deem FIVE MANSION GALLERY/神戸)
2012年 The world turns over(gallery near/京都)
     The world turns over(neutron tokyo/東京)
     Returns of The world turns over(くちばしニュートロン/京都)

【 主なグループ展 】

2003年 京展(京都市美術館)
     ART CAMP in CASO(海岸通ギャラリーCASO/大阪)
2004年 京展(京都市美術館)
2005年 京都市美術工芸新鋭選抜展(京都府文化博物館)
     Art Court Frontier 2005 #3(アートコートギャラリー/大阪)
2006年 dream GIRLS(京都芸術センター)
2008年 ART OSAKA(堂島ホテル/大阪)
     ART CAMP 2008(ギャラリーヤマグチ クンストバウ/大阪)
2009年 ART OSAKA 2009(堂島ホテル/大阪)
     KOMAZAWAMUSEUM×ART(駒沢公園ハウジングギャラリー/東京)
     星に願いを(neutron tokyo/東京)
     It’s a small world(neutron kyoto/京都)
2010年 富士山展(neutron tokyo/東京)
     Home,Sweet Home(neutron tokyo/東京)
2011年 ART OSAKA 2011(ホテルグランヴィア/大阪)
     OPEN FACTORY(neutron Kyoto “FACTORY”/京都)
     来るべき世界(neutron Tokyo/東京)
     アートスロープ展(西武百貨店渋谷店)
     シブヤスタイルvol.5(西武百貨店渋谷店)
2012年 ~うつくしきもの~ミニアチュールの魅力展(三越伊勢丹/大阪)
     white ground(三越伊勢丹/大阪)
     TAKE OUT ART!-アートを“お持ち帰り”する小作品展-(gallery near/京都)
     Somewhere in nowhere~どこでもないどこか~(neutron tokyo/東京)
     Romantic Winter Scene~冬の情景~(西宮阪急/兵庫)
2013年 ≪ワタシ≫と≪セカイ≫現代絵画と映像~視覚表現の旗手たち~(阪急うめだ本店/大阪)

【その他】

2003年 第17回ホルベインスカラシップ奨学者